アイヌ語入門2 

2−2 さまざまな口頭文芸 <散文説話>
散文説話とは
 日常の会話に近いような語り口調、 あるいはそれよりもやや単調に聞こえる口調や、 逆にやや大きく抑揚(よくよう)をつけたりする口調などで語られます。
 物語には十分前後で語り終える短いものもあれば、 数時間に及ぶ長いものもあります。

 物語の内容は、主人公も話のあらすじもバラエティーに富んでいます。
 人聞が主人公で、 自分の体験したことやカムイとの関わりなどを物語るもの、 カムイが自分の体験などを物語る、 内容としては神謡に近いもの、 英雄叙事詩と同じような、 人間にはない力を持った少年を主人公とする内容の物語などがあります。

 人聞が主人公になる物語には、 主人公が様々な苦労をしたり危機におちいったりしながらも、 最後は、よい心がけの主人公は幸せな結末を迎え、 悪者や悪いカムイは懲(こ)らしめられる、 といったかたちで、 社会で生きていく上での心がけを伝えるようなものが多いとされます。

 自分たちが住んでいる土地での出来事や 直接の先祖が体験したことを大切な事柄 として伝える物語も、 散文説話と同じようにして語られます。