アイヌ語入門3 

3−2 歌と踊りと楽器
歌と踊りと楽器
 アイヌの歌や踊りには、 日常の暮らしの中で歌われるものや、 儀式のときに演じられるものなど、 様々な種類があります。
 伝統的な踊りは歌とともに行なわれます。 手拍子などを除いては声だけで行なう曲がほとんどですが、 古い記録やサハリンの踊りには楽器の伴奏をともなうものもあります。
道内の呼び名の違う3地域
 それぞれの歌、踊り、楽器の種類の呼び名は地域により違いがあり、 同じような呼び名でも地域により内容などが違うこともあります。 例えば、立って輪になって歌いながら踊るものを胆振(いぶり)の白老(しらおい)地方 では主にリセと呼びますが、 日高の沙流(さる)地方では主にホリッパといい、 旭川地方では主にウポポと呼んでいます。


 アイヌの芸能は、 特定の専門家によって作られたり演じられたりしてきたものではありません。 その多くは、それぞれの地域や家庭で、 実際に歌ったり踊ったりすることを通じて伝承されてきました。
 メロディや踊りの動きなどを細かに記した 楽譜や教本のようなものがあったわけでもありません。 歌調は曲ごとにおおむね決まっていますが、 掛(か)け声(ごえ)などを即興的(そっきょうてき)に加えたり、 曲の種類によっては歌い手のそのときそのときの感情などを歌詞にして歌うこともあります。
 いっぽうで、演じる場がある程度決まっていたり、 演じる人が年齢や性別によってある程度決まっている場合もあります。 こうした決まり方も地域や個人、 時代によって様々です。