アイヌ語入門1
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1−3 アイヌ語の歴史と現在
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■ アイヌ語についての記録と辞典
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アイヌ語についての文献上の最初のまとまった記録は、
1621(元和7)年に松前に渡ったイタリアのイエズス会の宣教師アンジェリスによるものとされています。
彼がローマ法王のもとに送った報告書に、54語のアイヌ語が含まれています。
また1643(寛永20)年には、オランダ人のフリースが、樺太と北海道に寄港しましたが、
そのときの記録の中にアイヌ語が残されています。
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もしほ草
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18世紀には、ロシアのクラシェニンニコフによる北千島アイヌ語の語彙集(285語)、
フランスのラ・ペルーズによる樺太での記録(160語)、
日本で最初のまとまったアイヌ語彙集『もしほ草』(上原熊次郎(うえはら くまじろう)、約2,700語)
などが知られています。
1875(明治8)年に出版されたドブロトヴォルスキーによる『アイヌ語―ロシア語辞典』は、
『もしほ草』などのそれまでに刊行されたさまざまな資料をまとめ、
さらに彼自身が樺太で集めた項目を加えて編集されたもので、見出し語は1万語を超えています。
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アイヌ英・和辞典
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(つづき)
1938(昭和13)年には、北海道で布教活動をしていた聖公会のイギリス人バチェラーが
『アイヌ・英・和辞典』の第4版を刊行しました。この辞書は項目数約2万におよび、
日本語訳の誤りなどいろいろな問題が指摘されながらも、
今もなおアイヌ語の研究には欠かせない文献の一つになっています。
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登別出身の知里真志保(「アイヌ語の歴史2」参照)による『分類アイヌ語辞典』は、
第1巻「植物篇」、第2巻「動物篇」、
第3巻「人間篇」からなる大著で、
1953(昭和28)年から著者が亡くなった後の1962(昭和37)年にかけて刊行されました。
多くの民俗学的情報が含まれており、現在でもアイヌ文化を学ぶためのたいへん重要な文献になっています。
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1964(昭和39)年には、言語学者の服部四郎を中心とする数名の言語学者による共同調査の成果である
『アイヌ語方言辞典』が刊行されました。この辞典では、2,000を超える単語について、
北海道内の8箇所のほか樺太、千島の方言が調査されています。
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1990年代後半から、あらたな調査や研究の成果に基づくアイヌ語辞典の刊行が始まり、
アイヌ語の学習・研究の状況はこの点でも大きく変わりつつあります。
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