アイヌ語入門1
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1−3 アイヌ語の歴史と現在
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■ アイヌ語の現在 1
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キムスポ
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近年、アイヌ語を取りまく状況は大きく変化しました。
アイヌ民族のさまざまな動きが同化主義の枠を超えて展開するようになる中で、
その伝統文化にあらためて関心が寄せられ、アイヌ語の継承や復興が唱えられるようになったのです。
1970年代に入ると、北海道内の何か所かで、アイヌ自身によるアイヌ語学習会が開かれるようになりました。
その後、北海道ウタリ協会によるアイヌ語学習会が開催されたり、平取町二風谷の萱野茂さんが、
子どもたちを対象にしたアイヌ語塾を開設するなど、新しい活動も始まりました。
また、道内ばかりでなく、道外にもアイヌ語を学ぼうとする人たちが出てきました。
このほか、静内町の葛野辰次郎(くずの たつじろう 1910〜2002年)さんは、
アイヌ自身が祖先の言葉を学ぶことを第一の目的に編集された『キムスポ』を書きました。
さらに、静内町の織田ステノさん(おりた すての 1901?〜1993年)や
鶴居村の八重九郎さん(やえ くろう 1895〜1978年)などの伝承者が語った
口承文芸の記録の刊行なども進められるようになりました。