アイヌ語入門3 

3−1 アイヌの芸能のあらまし
コラム ‐ アイヌの芸能についての調査や採録の歴史
 早い例では、17世紀末の日本の江戸時代の文献に、 少しずつですが、 アイヌの踊りについての記録が見られます。 1799年に成立したとされる『蝦夷島奇観(えぞしまきかん)』には、 踊りや歌に関する説明が見られ、 楽器や踊りのようすが描かれています。
 20世紀になると、 録音や録画によってアイヌの芸能が記録されるようになりました。 早くは、 1897年にフランスのリュミエール杜が日本各地を撮影した映像フィルムの中に、 北海道で録画されたアイヌの踊りの映像が含まれています。 1900年ころには、 ポーランド出身のブロニスワフ・ピウスツキ(1866〜1918)が、 サハリン(樺太)で現在のレコードにあたる蝋管(ろうかん)を使って アイヌの歌や物語の録音を行なっています。
蝦夷島奇観(復刻版)とサハリンの地図

            蝦夷島奇観(復刻版)

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 1923 (大正12) 年には、 音楽学者の田辺尚雄(たなべ ひさお 1883〜1984)がサハリンでアイヌの 音楽の録音を行なっています。 同じ頃から、 金田一京助(きんだいち きょうすけ 1882〜1971)、 久保寺逸彦(くぽでら いつひこ 1902〜1971)、 知里真志保(ちりま しほ 1909〜1961)らアイヌ語やアイヌ文化の研究者も、 物語とともに歌や踊りを採録しています。

 戦後には、伝統的な芸能の記録を目的とした 組織的な調査も行なわれるようになりました。 例えば、 日本放送協会(NHK)の事業の中でも札幌放送局による1961〜63 (昭和36〜38) 年の調査では、 北海道の各地で300名以上の伝承者から採録しています。

『アイヌ伝統音楽』

日本放送協会(編) 『アイヌ伝統音楽』
上記のNHK札幌放送局による調査を もとに刊行されたものです。 ソノシートが付いています。

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